秘密の記憶は恋の契約
(あー・・・もう・・・。ほんとにサイアク・・・)


真っ白な天井を見上げながら、私はズズッと鼻をすすった。

あのまま、トイレの個室に逃げ込んだ私。


(職場で泣くとか・・・絶対にしたくなかったのに)


仕事でどんなに辛いときだって、どんなに怒られたときだって、私は絶対に、会社で泣いたりしなかった。


(新人の時でさえ泣かなかったのに・・・。いい年して恥ずかしい)


家に帰って一人になれば、バカみたいにわんわん泣くこともあるけれど、会社で・・・しかも恋愛沙汰で泣くなんて、本当に私はバカみたいだ。


(戻りづらいな・・・)


あそこで逃げ出してくるなんて、気まずい状況半端ない。

けれどあの場に居ることなんて、さっきの私には出来なかった。


(でも・・・ずっとここにいるわけにもいかないし・・・)


フロアの中には誰がいたっけ。

なんだかんだと結構出払っていたけれど、綾部くんと課長と・・・あともう2、3人くらいはフロアの中にいた気がする。
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