秘密の記憶は恋の契約
彼の態度に怯みながら、私は理由をなんとか答える。

すると彼は顔を曇らせ、口元をきゅっと結んで話し始めた。

「別に・・・。余計なお世話だっただろ」

「・・・え・・・?」

「これで向こうもOK出したら、この仕事も終わりだし。そうしたら・・・おまえ、山崎さんと会えなくなるだろ」

「!」

考えてもない言葉だった。

そんなこと思うはずがないって、そう、すぐに叫びたいのに。

彼の言葉が辛すぎて、私の口は動かない。

「・・・連絡先とか聞いてんの?」

「まっ・・・まさか・・・!聞いてないよ、そんなの・・・!」

彼の止まらぬ質問に、涙がじわりとこみあげる。

「・・・そう。じゃあ聞いとけば?会社のアドレスだけじゃ、連絡取りづらいだろ」

「・・・!!わ、私は・・・!」

綾部くんのことが好きなのに。

そう、気持ちを伝えたいのに。

涙をこらえるのに精いっぱいで、それ以上、言葉を足すことが出来なかった。

「・・・」

彼が、無言で私に背中を向ける。

唇が震えて止まらない。

一粒だけ、ポトリと涙が机に落ちた。

そのまま、溢れ出しそうな涙をこらえて、私はフロアの外へと駆け出した。






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