秘密の記憶は恋の契約
隣の部屋から、「ジュージュー」とおいしそうな音がする。

油の染みたメニュー表を眺めていた金田さんは、「決めた!」と言って顔を上げた。

「美咲ちゃんは豚玉だよね。私はシーフードミックスで!」

「はいよー。じゃあ、久しぶりに来てくれたから、生中1杯ずつ出してやるな」

「わ!ほんとですかー。ありがとうございます!」

金田さんが連れて来てくれたのは、会社から徒歩10分ほどの場所にある、家庭的な雰囲気のお好み焼き屋さんだった。

「高校友達のお父さんがやってるの」ということで、金田さんは店主のおじさんと親しげに話をしていた。

通された半個室のお座敷はとても居心地がいいけれど、私は目の前に届いたジョッキを前に、金田さんに疑問をぶつけた。

「・・・飲まないんじゃなかったんですか?」

「1杯くらいいいでしょうー。それに、サービスって言ってくれてるのに、断るのもどうかと思う訳ですよ」

「・・・まあ・・・そっか、そうですね・・・」

金田説に納得し、私はジョッキを持ち上げた。

「じゃあ、今日も一日おつかれさま!!」

「おつかれさまです」
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