秘密の記憶は恋の契約
金田さんが気づいているのは、もちろんわかっていたけれど。

私は誤魔化すように視線をはずし、ビールをひとくちゴクリと飲んだ。

「ほら・・・元々はさ、岩下さんと美咲ちゃんがアクアシュガーの担当だったじゃない?

それが岩下さんのぎっくり腰で、綾部くんが突然指名されたでしょう。

課長さ、有無を言わさず綾部くんに押し付けちゃったこと、結構気にしてるのよー」

「え?そうなんですか?」

「うん。で、そんな風に突然任された仕事が不服で、綾部くんが美咲ちゃんに辛くあたってるんじゃないかって、課長はすごく心配してるの」

「へっ!?」

「『オレがあの二人の仲を悪くした!』って、秘かに悩んでるんだよ、あの人」

「ええっ!?」


(あの課長が!?)


さっき顔を合わせたときだって、そんな感じはしなかった。

綾部くんにさらりと用件を伝えただけで、私たちの仲を気にかけてる様子なんて、全くしなかったのに。


(でも・・・金田さんに相談してたってことは、ほんとに悩んでた・・・っていうことだよね)


そう思った私は、プルプルと首を横に振る。

「課長は関係ないですよ。綾部くんも、そんなことで人にあたったりするタイプじゃないし」
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