最高の恋の見つけ方
帰り道、我が家の近くの電柱の前に葵くんがいた。
すこし頬を膨らませて、唇を尖らせた葵くんは、ポケットに手を入れて、私を見ていた。
「ごめんなさい!」
私は葵くんに駆け寄って謝った。
「具合、悪いって聞いたから、様子見に来たんだけど、いなかったから」
ぼそぼそと葵くんがつぶやいた。
「心配だったんだ」
「ごめんね。今日はゆいとケーキバイキング行ったんだ。なんか、せっかく葵くんが部活休みなのに、デートできなくて、悪いなっておもっちゃって、ついつい具合悪いって言った」
葵くんは少し赤い顔をして、私を見た。
「俺、すごい嫉妬深い彼氏みたいじゃん、みっともない。ほんと、ごめん」
「私の部屋で待ってたらよかったのに」
「鍵掛かってた」
葵くんのうちは私のお隣で、お互いの部屋を屋根伝いに行き来できる。私たちは暇な時は大抵私の部屋で一緒に勉強したり、漫画読んだりしてるのだ。