最高の恋の見つけ方
「もう、一時間経っちゃった」


そう言って、葵くんが繋いでいた手を離した。


「経ってない」


「絵里?」


「一時間、経ってないから、お願い」


気がついたら、私は葵くんの背中に両手を回して、抱きしめてた。



冷たい感触を感じて、空を見上げると、雨が降って来た。私たちは、慌てて近くのお店の店先に避難する。


葵くんの少し濡れた髪を、撫でた。



「大丈夫?葵くん」


「うん。大丈夫だよ、絵里」



「傘、ありますよ」


お店の人が、声を掛けてくれた。


二人で、一本だけ、傘を買った。


雨はどんどん激しさを増している。



「絵里」


「葵くん」


「どっかで休んでいこう」


「私も、そう思ってた」


葵くんの温かい手が、私の頬に触れる。私は目を閉じる。
柔らかな葵くんの唇の感触が、降ってきた。


止まない雨みたいなキス。



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