黄昏と嘘
「わからないのなら・・・いい」
決してアキラはそのとき、彼女にやさしい表情を見せたわけでもない、いつもと同じ、冷たい表情のままだったはずだ。
でもチサトはこんな風に話しかけれたのは初めてかもしれない、そう思った。
そしてアキラは静かに言った。
「キミは・・・そうやって他人のこころない言葉や仕草を許すことができるんだな・・・」
それは今まで掛けられたこのない、穏やかな言葉だったらから。
チサトはきっと彼がいつもと違う、そう感じたのかもしれない。
だから、つい・・・。
「先生って・・・とてもキレイな顔・・・してるんですね」
言った瞬間、チサトはまたとんでもないこと言ってしまったと慌てて両手で口を塞ぐ。
せっかく今日は自分の中で穏やかに1日が終わりそうだったのに、怒られないですみそうだったのにと後悔する。
また余計なことを言ってしまった。
「あっ、あの・・・変なこと・・・」
彼女はアキラが怒り出す前に頭を下げて謝ろうと頭を下げた。
しかし何も言わない彼が気になり、そっと顔を上げる。
そしてチサトはアキラの意外な反応にびっくりした。
・・・うそ・・・!
・・・照れてる?!
アキラは驚いた顔をしながらも少し顔を赤くし、チサトを見ていたのだ。
「あ・・・明日も授業があるんじゃないのかっ?!
早く・・・!片付けて寝なさいっ!」
それだけ言うと慌ててチサトの横をすっと抜けて自分の部屋へと帰っていった。
チサトはただアキラの背中をぼんやりと見つめるだけだった。