黄昏と嘘
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ダメだな、もう逃げられそうにない。
チサトはそんなこと思いながらどうやって会話を上手く交わそうかと思っていた。
30分前、2講目が終わりチサトは昼休み、いつものように急いで昼食をとっていた。
早くしないとカノコがやってくるからだ。
彼女が来る前にさっさと食べ終わって来ても時間がないから、と逃げようと思っていた。
長いつきあいだから秘密ごとをしたくないと思っていたが、さすがにアキラと一緒に住み始めたということは言えるわけない。
早く逃げなければと焦るチサトだが、今日は食堂の列がいつもより長くランチを受け取るのに時間がかかってしまい、結局、まだ食べ終わらないうちにカノコの目の前に人が立ち止まる気配があった。
カノコだ。
チサトの箸を持つ手が止まり、冷や汗が流れるのを感じた。
するとその人物はテーブルに親子丼の乗ったトレイを置き、チサトの向かい側にゆっくりと座った。
できるだけ冷静を装うとしてもチサトの動きはどうも不審になる。
そんな姿を見てカノコは言った。
「何、そんな急いでるの?
さっきも授業終わったら私のこと無視してここに急いで来てたでしょう?」
「うん・・・ごめん。
ちょっと用事があって・・・」
聞かれることはわかっていたけれど適当な言葉が浮んでこない。