黄昏と嘘
「・・・僕はそんなイメージなのか?」
「え?あ、っと、そうですよ。
ナイフとフォークを何種類も使い分けてお皿にキレイに飾られた料理を食べるって感じです。
そうだ、先生、絶対にラーメンとか食べないでしょう?」
チサトは水の入ったコップを手に取り早口で彼にそう言うと一口飲んだ。
「・・・ラーメン・・・?それくらい普通に食べる」
「・・・え?」
チサトはそのアキラの答えにとうとう堪えきれずにケラケラと声をあげて笑いだす。
「あははっ・・・!
せ・・・先生がラーメンって・・・そんなの・・・っ!」
そのチサトの笑い声に道具を洗っていた手を止め、振り返りチサトを見る。
頬を紅潮させ、声をあげて笑う姿に本当に彼女は自分のことを怖がり、恐れていることはないのだろうか、そんなことを思わせるような笑顔だった。
しかし考えてみればアキラのことを恐れているのならチサト自身からあの夏の時だってアキラに助けを求めることもしないはずだ。
でも彼女ははっきりと「住むところがなくなるから助けて欲しい」そう言ったのだ。
それから彼女とのことを考えれば考えるほど不思議な子だとアキラは思った。