黄昏と嘘

それはどんなに食べすすんでも玉ねぎが全く出てこない、とういうことだった。
鶏肉、ピーマンは入っているのになぜか玉ねぎだけがいつまでも出てこない。
玉ねぎはチキンライスの具材の定番と言ってもいいくらいのはずなのに、とチサトは不思議に思い始める。

もしかして玉ねぎがなかったのだろうか。
でも確か冷蔵庫の横に置いてあったカゴの中にあったはずだ。
チサトは黙って食べろと言われたが、気になり始めるといろんなことを考えて気になって手が止まってしまう。
そして少し視線をあげてそっとアキラに聞いた。

「先生・・・あの・・・どうして玉ねぎが入ってないんですか・・・?」

キッチンの片付けも済み、棚にかけていた背広とネクタイを手に取っていたアキラは手を止め、チサトに背を向けたまま、少しの沈黙。


あ、もしかしてなにかヤバいこと言った、私?


「・・・僕が嫌いだからだ」


チサトはアキラの答えに目が点になる。







< 159 / 315 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop