黄昏と嘘

もうちょっとちゃんとした服で来ればよかった・・・。
でも、言うほど服持ってないもんなあ。とりあえずこれが持ってる服の中で一番オシャレっぽい感じ・・・だったしな。
もうちょっと洒落た感じの・・・。

あ。そうだ。

ふと気づいたチサトはポーチからアトマイザーを取り出した。
アトマイザーの中にあるのは前にモモカからもらったフェラガモ。

その香りは彼女の言っていた通り、大人っぽくて上品でそれでいて可愛いものだった。

チサトは香水をつけて出かけるという機会なんてまるでなかったからアトマイザーに移し入れたものの、ずっと使うことなく持ち歩いていた。

いつか使う時がきたらいいなあ、そんなことを思って。

今夜はちょうどいい機会かもしれない。
まだ私にはちょっと早い、大人の女性をイメージさせる香りだけど。
香りだけでもオシャレな感じで・・・。

そう思ってチサトは香りを耳の後ろ、手首に吹き付ける。
少ししてステキな香りがチサトを包み込む。

あれ?使うのは初めてのはずなのにどこかでこの香水と同じ香りを・・・?
どこだっけ?

そんなことを考えながら続いていた緊張感が少し消えていくように感じた。



先生、気づいてくれるかな。





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