黄昏と嘘
もしそのことをアキラが知ったとしたら。
その先を考えるのが怖かった。
チサトにとって知らないままでいたならそのほうがずっといいことのはずなのに。
「いえ・・・、なんでもありません、スミマセン・・・でした」
チサトはだんだんと小さな声になる。
結局は勇気がくじけてしまった。
「・・・私は、・・・いつでも本気でひとを好きになっていたわ」
彼女はそう答え、少しの間、チサトからの言葉を待っていたようだったがもう何も言いそうにないと判断したのか、玄関の扉を開けて出て行った。
チサトは開くドアの音に顔を上げ、ただ黙って彼女が出て行く姿をぼんやりと見つめるだけだった。
「いつでも本気だった」
それはきっとアキラといるときに一緒にいた男性のことも、そうだったと、そういう意味だったのか。
それともチサトのためにそう言ったのか。
彼女は自分よりもずっと大人の女性だ、そう理解することで一層、自分が哀しくなる。
それよりも・・・、ああ・・・どうしよう。
私、またとんでもないことやってしまったのかもしれない。
そして今回はどうしようもなく、とてつもなく、とんでもないこと。