黄昏と嘘
チサトはアキラに対し、また余計なことをしてしまったと、謝罪するために項垂れリビングへと戻る。
リビングのドアの前で大きく息を吐いてそれからゆっくりとドアを開ける。
彼女が戻ってきたことに気づいたアキラがこちらを向いて目が合う。
何を話していたのか、気にならないと言えば嘘になる。
でもきっと自分のことを酷い奴だと思ったに違いない。
それでもこの部屋にチサトが戻ってきたことにアキラは少し安堵する。
しかしチサトはアキラから目を逸らし、うつむいて少ししてから言葉を発する。
「せ・・・先生・・・ごめんなさい。
私、そんなつもりじゃ・・・隠れてるって言っておきながら勝手なこと・・・でしゃばって・・・」
チサトは謝りながら嫌な思いをさせてしまったから怒られる、絶対に怒られるそう思った。
しかしチサトがひと通り謝罪の言葉を述べても静かな沈黙が流れるだけでアキラから何も言葉が返って来なかった。
どうしたのだろうか、もう言葉にならないくらいに怒っているのかもしれない、とチサトはどきどきしながら彼の表情を確かめようとゆっくりと顔をあげる。
しかしそこにあったアキラの表情はチサトが思っていたものとは違い、怒りの表情などなくどこか穏やかにすら感じた。