ありふれた恋でいいから
大学のこと。バイトのこと。サークルの飲み会や交友関係の話。
高校時代と違う環境を謳歌しているらしいコウの話は尽きることなく。

「でもさー、意外とミキって付き合ってみるとヤキモチ焼きなんだよ。まあそこが可愛かったりするんだけどさぁ」
「……へぇ、」

いつしか吉田の話題になった時、俺は内心耳を塞ぎたくなった。

それでもコウは興味無さ気に反応する俺の態度にも気付かず、もっと話したいというオーラがバンバン出ていて。

「……いつから、付き合ってるんだっけ?」

俺は半ばそのオーラに押し切られるように会話の糸口を投げかけてしまったのだけど。

「付き合い始めたのは入学してすぐぐらいなんだけどさ。きっかけはホラ、卒業した日に打ち上げで集まったじゃん。あの時、俺ミキとやっちゃってさ~」



「……は……?」



周りに聞こえない程度に打ち明けるコウの言葉に、一瞬聞き間違いかと自分の耳を疑った。

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