龍華寺 四葉と書いて、救世主と読め。
かっこいい女の子だと思ってたから、記憶の片隅に彼女の存在は残ってた。
「えー、あいつその生徒会長に喧嘩売ってんの?」
「いやー、馬鹿すぎでしょ」
「身の程知らず過ぎ(笑)」
「頭悪そーw」
一気に盛り上がる野次馬の山田を見る目が冷たくなる。
四葉は舐めるように山田を見据え、トドメを刺した。
「ほらほらぁ、みんなお前を非難の目で見てるぜ?これ以上恥かきたくなかったら、あんたがさっきわざとぶつかったそこの黒髪オカッパ女子に謝れよ」
四葉が野次馬の中のナゴミをびしっと指差す。
(お、オカッパ女子って……これ、少し短めの姫カットのつもりなんだけど……。)
居たたまれない気持ちになったらしく、山田がナゴミの前までつかつかと来た。
少し涙目になってる。
「ご、ゴメンナサイ!!」
バッと頭を下げたかと思うと、すぐに逃げるように行ってしまった。
「すっげえー!」
「あの山田を謝らせた!」
「強いな!」
「格好良い!」
また盛り上がる野次馬。拍手もチラホラと聞こえる。
(す、凄い……!生徒会長、暴力無しでやっつけちゃった!)