“毒”から始まる恋もある
*
さて、恋を求める独身女子としては、出会いの機会を無駄にする余裕などない。
モニターは数人と言っていた。ってことは、他にも人がいるってわけじゃない。
イケメンの男の人がいるといいな。できれば顔は里中くんに似てるといい。
好き勝手なことを考えながら、私は定時後のメイクに勤しむ。
トイレでメイクを直す社員は結構いる。夜デートって人も多いしね。
まあ、カールアイロンまで持ち込んでいるのは私くらいかもしれないけど。
「ん。完璧」
「あれー刈谷ちゃん、今日何かあるの?」
「彩音」
なぜ営業事務の彩音とこの階で出くわすのかしら。
彼女は普段二階下の営業部にいるはずだけど。
「経費の書類届けにきたのよ。それより、凄くおめかし。デート?」
「違います。デートできる相手を探しに行くの」
「合コン? 募集中なら谷崎くんでいいじゃん。本気みたいよ? 彼」
「何が悲しくて谷崎よ」
ちっとも好みじゃないのよ、谷崎は。
チャラチャラしてるしさ、顔もちょっと田舎臭いし。
そのくせ、格好つけてレイバンの眼鏡をこれみよがしにつけてるし。
女と対面するときに必ず眼鏡を直しているのに、きっと本人は気づいてないんだろう。
最初は格好良く見える仕草も繰り返しすぎると興ざめするのよ。
「それより、後ろ見てよ。ちゃんと巻けてる? 髪」
「巻けてるよ。それにしても扱い悪いねー谷崎くん。かわいそ」
「知らないわよ。じゃあね」
アイロンをポーチにしまい、それを更に大きめのかばんに入れる。
まだ早いけど、いちいち人に言われるのは面倒臭いからもう行ってしまおう。
さて、恋を求める独身女子としては、出会いの機会を無駄にする余裕などない。
モニターは数人と言っていた。ってことは、他にも人がいるってわけじゃない。
イケメンの男の人がいるといいな。できれば顔は里中くんに似てるといい。
好き勝手なことを考えながら、私は定時後のメイクに勤しむ。
トイレでメイクを直す社員は結構いる。夜デートって人も多いしね。
まあ、カールアイロンまで持ち込んでいるのは私くらいかもしれないけど。
「ん。完璧」
「あれー刈谷ちゃん、今日何かあるの?」
「彩音」
なぜ営業事務の彩音とこの階で出くわすのかしら。
彼女は普段二階下の営業部にいるはずだけど。
「経費の書類届けにきたのよ。それより、凄くおめかし。デート?」
「違います。デートできる相手を探しに行くの」
「合コン? 募集中なら谷崎くんでいいじゃん。本気みたいよ? 彼」
「何が悲しくて谷崎よ」
ちっとも好みじゃないのよ、谷崎は。
チャラチャラしてるしさ、顔もちょっと田舎臭いし。
そのくせ、格好つけてレイバンの眼鏡をこれみよがしにつけてるし。
女と対面するときに必ず眼鏡を直しているのに、きっと本人は気づいてないんだろう。
最初は格好良く見える仕草も繰り返しすぎると興ざめするのよ。
「それより、後ろ見てよ。ちゃんと巻けてる? 髪」
「巻けてるよ。それにしても扱い悪いねー谷崎くん。かわいそ」
「知らないわよ。じゃあね」
アイロンをポーチにしまい、それを更に大きめのかばんに入れる。
まだ早いけど、いちいち人に言われるのは面倒臭いからもう行ってしまおう。