“毒”から始まる恋もある
「なるほど。ちなみに紫藤さんならコレと何を一緒に召し上がりますか?」
「そうね。まあ定番だけどじゃがいも系なら合いそうよね。でも案外味はこってりだから、サラダも欲しくなるかしら」
「なるほど。ちなみに栄養バランスの面で見るとどうでしょう」
「そうねぇ……。玉ねぎだからビタミンB1、B2、ビタミンC、カリウムとかかな。でも熱を加えているからB1成分は壊れてしまうわね。新玉ねぎだから本当は生で使ってもらって方が栄養は取れるんだけどなぁ」
紫藤さんが次々と答えて、数家さんはメモを取りながら熱心に聞く。
不思議に思って見ていると、「あ、紫藤さんは栄養士さんなんです」と聞いてもいないのに答えられた。
なるほど、彼女がモニターに選ばれたのはそういうことか。
「値段はいくらぐらいで出すつもりなのかね」
次に口を挟んだのは北浜さん。
「二人前の量を千円前後で提供したいなと思っています」
「でもメイン食材が玉ねぎだからね、あまり高いと頼まないだろう」
「そうですねぇ」
「いっそ副菜としてセットにしてみたらどうだ。価格はそこでごまかせる」
北浜さんがつっこむのは主に値段や売り方についてだ。
なんとなく二人の役割分担が見えてきた。
となると、私に求められているのは何なの?