学園世界のイロジカル
なるほど…龍矢は最初、体が弱かったのか。



でも今、すっごい強いよね。それも学園で1、2を争うほどの、桁違いの!



まるで入院してたなんて過去、嘘みたい。




「今じゃ龍矢の動きはヒーロー並みだもんね!」


仮面をつけているヒーローの図が、頭に浮かぶ。


…いや、それこそ桁違いだな。


龍矢はヒーローどころじゃない、ヒーローのさらに上……




「…ヒーローの上ってなんだ?


……救世主?」




ぶっ!と柊が吹き出して、少し濡れた口元をハンカチで吹いた。


なに笑ってんの。ヒーローの上は救世主。



間違いじゃないでしょ。すごいピッタリだよ。



ねえ?と龍矢に顔を向け、問おうとした時……




「……龍矢?」



「…あ、ん?あ、なに?」



「いやー、ほら。ヒーローの上が救世主じゃないかって!

ピッタリじゃない!?そして龍矢は救世主が良いでしょ!?」



私の言葉に、龍矢ははは、と笑う。


でもその笑みは…なんか、引っかかる。




「…俺が救世主でヒーローか。

なれるもんならなりたいな。


……俺はどうせ、救世主にもヒーローにもなれなかった無力なやつのくせに、


大切な人を救おうとまだもがく…ただの"偽善者"だよ」




へらへらと笑いながら言う龍矢に、私も笑う。




「……なにそれ、偽善者?いやいやー、そんな謙遜しないのー!」



「はは、まあいいじゃん。

あ、俺そろそろ仕事だ。


じゃね、2人とも、ゆっくりして、ポイントは先に俺の分は支払うからさ」




そう言って立ち上がって、ポイセを操作した後すぐに出て行った龍矢。




最後まで、笑っていた。


……異変を感じなかったわけじゃない。



ただ、あの時の龍矢は……そう、人の触れてはいけない部分に私は触れてしまったんだろうな。



気付かないフリして笑うしか……私もできなかった。






「………俺の周りって、いつもこうなんだよな」



「柊?」




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