願う場所、望む奇跡
「ねぇ」
そんなことを考えていると、急に義哉が声をかけてきた。
「何で後ろ歩いてんの?」
私が声を発するより先に、義哉が話し出した。
「え?あ、いや……えっと……」
言い訳が思いつかず、しどろもどろになってしまう。
「後ろ歩いていたら、一緒に出かけている意味ないよね?」
そう言われてみれば確かに。
だけど、隣で歩く勇気もなかったんだ。
怒っているようにも見えたし、不機嫌にも見える。
ただでさえ好きな人なのに、これだったら余計に隣に立てない。
私が未だ戸惑っていると、義哉が私の手を引き隣に立たせた。
「ちゃんとここにいて。いつの間にかいなくなったとか嫌だから」
目を合わせることなく、そう言い放った。
冷たい言い方かもしれないけど、優しさが見え隠れする。
怒っていても、私のことを気にしてくれるのは嬉しかった。
自然と笑顔になる。