願う場所、望む奇跡
『夏希、誰かと一緒?』
私の反応が怪しかったのだろうか。
そんなことを聞かれてしまう。
「あ……家族といるから」
嘘はついていない。
義哉も家族に違いはないから。
現実が心に突き刺さって痛いけど。
『じゃあ、仕方ないね。おばさんによろしく言っといて』
「え?あ、うん。じゃあ」
細かく突っ込まれることはなかった。
勝手にお母さんも一緒だと思ったみたいで、すぐに電話を切ってくれた。
電話を切ってすぐにため息が漏れる。
大きな嘘を吐いている訳ではないのに、なんだか後ろめたい。
「今の……彼氏?」
驚くほど低い声が隣から聞こえた。
義哉を見ると、声と同様に冷たい表情だった。
電話の前は、少しだけ穏やかな空気が流れたのに、今ではまた重たい空気になった。