願う場所、望む奇跡
だんだん息苦しくなってくる。
何も考えられなくなる。
立っていることも出来なくなる。
正直言って、このまま離れたくない気持ちもある。
今までで1番甘いモノだったから。
唇が離れた時、義哉は困ったような顔をした。
「夏希は、小悪魔だね。俺に感じるなんて」
そう言って、私の唇を指でなぞる。
それから、今度は触れるだけのキスをして、この場から立ち去った。
私は1人、その場に残された。
キスの意味も分からずに。
好きな人との初めてのキス。
本来なら嬉しくて甘いキスだったはず。
確かに甘いモノだったけど、嬉しくはない。
このキスに気持ちはない。
義哉にとって大きな意味はないもの。
どんなに甘くても腰が抜けそうになっても、気持ちを伴わないキスはいらない。