願う場所、望む奇跡



「え……?ちょっ……」



今の状況に頭がついていかない。

さっきまで空気が重くて冷たかった。

そんな甘い雰囲気はどこにもなかった。

とはいえ、空気が変わった訳じゃない。



「俺が悪いの?俺がいけないの?
……分かっているよ。だけど、コントロール出来ないんだよ」



苦しそうに呟いているけど、私には何を指しているのか分からない。

だけど、その声に胸が締め付けられる。

そのため、抱きしめられている腕の中から抜け出すことが出来なかった。


そんな時、少しだけ体を離された。

不思議に思って少し見上げた。

すると、顎を掴まれ持ち上げられた。



「……謝らないから」



状況を把握する前に、そう呟かれた直後、唇が重なった。

それも、触れるだけじゃない。

食べられてしまうんじゃないかってぐらい深い。

ようやく頭が追いついた私は、なんとか抜け出そうとする。

だけど、片手は頭の後ろへ、もう片手は腰に回っていて逃げ道はなかった。




< 111 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop