願う場所、望む奇跡
「ここが6と8が違って、こっちは18と81、反対です」
「げぇ、マジだ。ごめーん」
書類を受け取り、急いで直す。
あの泣いた時から、義哉の話しはしなかった。
色々聞きたいこともあると思うけど、泣いた理由さえも聞いてこなかった。
一緒にランチへ出ているけど、そのことには触れてこなかった。
不思議ではあるけど、助かった。
なかなか素直に話せることではないから。
それでも、時々何かを言いたそうにする。
それに気づいた私が首を傾げると、何でもないと首を振る。
やっぱり、気になるだろうか。
それとも、義哉が好きだと気づかれてしまったのだろうか。
いずれにせよ、今の私は全てが中途半端。
松本くんと別れることも、義哉に気持ちを伝えることも出来ない。
「先輩っ。夏希先輩っ」
「え?」
「またボーっとしている。最近、多いですよ」
あー、またやった。
せめて、仕事中はちゃんとしなきゃって思うんだけど。