願う場所、望む奇跡
「そうだよ。義哉くんの気持ちを聞いて、どれくらい強いものか知りたかった。じゃないと、この先大変だからね。
そこまでの覚悟がなかったら、俺は夏希を手放しはしない」
わざわざ、自ら辛い道を選択するとは。
お礼を言われるのは嫌だろうから、背中に向かって心の中で感謝した。
「あ、そうだ」
見送ろうと玄関まで行き、靴を履いたあと、何かを思い出したように顔を上げる。
「俺と夏希、最後までヤっていないから」
「は?」
「1回だけ脱がせたけど、していない。夏希の初めては奪っていないよ」
にっこり笑ってそんなことを言う。
何をカミングアウトしているのだろう。
そもそも、ばっちりキスマークまでつけておいてヤっていないとか、にわかに信じられないけど。
「じゃあ、頑張ってね」
爆弾発言のあとは、さわやかに去って行った。
俺よりも、1枚も2枚も上手な気がした。
まだまだ、大人の男には勝てない。