願う場所、望む奇跡
松本くんは、本当にそれでいいのだろうか。
そう思うけど、聞くことは出来ない。
「そういう訳で、今日は送らないよ。平気な訳じゃないから」
私の幸せを考えてくれた、松本くんの精一杯の強がり。
少し震えた声から、それが分かった。
「あ、でも、会社では今まで通り、仲の良い同期でいよう。
別れたと噂されるのは仕方ないけど、なるべく普通に接してくれるとありがたい」
「うん、分かった。
仕事では、これからもよろしくお願いします」
お辞儀をするように頭を下げると、少しだけ複雑そうな表情をした。
「それじゃあ、月曜に会社で」
苦笑いと共にそれだけ言うと、手を振って去って行った。
結局、私はほとんど何も言えなかった。
本当に、これで良かったのだろうか。
不本意だろうが、松本くんは全て知った上で頑張れと言ってくれる。
莉亜だって、応援はしてくれるかもしれない。