願う場所、望む奇跡
それでも、全ての人から理解は得られない。
今、目の前にあった幸せを手放してまで義哉を求めてしまっていいのだろうか。
確かに、このまま松本くんと一緒にいても苦しいだけだろうけど。
そんなことを考えながら、とぼとぼと歩いて家に帰った。
デートしていたのに、1人で帰ることなんて今までになかった。
本当に、終わったんだ……。
「ただいまー」
家に帰ったとたん、ふわっといい香りがした。
その匂いにつられて、お腹が鳴った。
「あれ?夏希?」
ダイニングの方から顔を覗かせたのは、義哉だった。
しかも、驚いている。
「あ、ただいま……」
「今日は遅くなるんじゃなかった?」
「イヤ、まぁ……うん」
どう答えていいか分からず、口ごもってしまう。
デートだと知っていたから、いつも通り遅くなると思っていたのだろう。