願う場所、望む奇跡



「……おいしい」



正直言って、義哉が料理出来るとは思わなかった。

でも、父親と2人だったんだから、出来ても不思議はないか。



「良かった。ありがとう」



にっこり笑ってお礼を言われた。

その表情に、ドキッとしてしまう。

こうやって話すのも久しぶりのような気がする。

今まで、なんだかんだ2人でいるのを避けていたから。

だって、やっぱりドキドキが止まらない。

ただ向かい合って食事をしているだけなのに、心臓がうるさすぎる。

こんなこと、松本くんの時にはなかったから、別れることになってしまったのは仕方がないことかもしれない。


ドキドキしながらも、他愛もない話しをしながら食事は終わった。

作ってもらったのだから、後片付けは私がした。

そして、次々とお風呂に入って寝に入る。……つもりだった。



「夏希」



お風呂から上がった私は、義哉に呼び止められた。

こんなこと、以前にもあったと思い出した。

あれは、自分の気持ちに気づいた時のことだ。




< 174 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop