願う場所、望む奇跡
「……おいしい」
正直言って、義哉が料理出来るとは思わなかった。
でも、父親と2人だったんだから、出来ても不思議はないか。
「良かった。ありがとう」
にっこり笑ってお礼を言われた。
その表情に、ドキッとしてしまう。
こうやって話すのも久しぶりのような気がする。
今まで、なんだかんだ2人でいるのを避けていたから。
だって、やっぱりドキドキが止まらない。
ただ向かい合って食事をしているだけなのに、心臓がうるさすぎる。
こんなこと、松本くんの時にはなかったから、別れることになってしまったのは仕方がないことかもしれない。
ドキドキしながらも、他愛もない話しをしながら食事は終わった。
作ってもらったのだから、後片付けは私がした。
そして、次々とお風呂に入って寝に入る。……つもりだった。
「夏希」
お風呂から上がった私は、義哉に呼び止められた。
こんなこと、以前にもあったと思い出した。
あれは、自分の気持ちに気づいた時のことだ。