願う場所、望む奇跡
「だって……」
「俺は、別れる気はないよ」
私が何を考えているのか分かっているかのように、きっぱり言う。
その言葉は嬉しいけど、私は遠距離なんて自信がない。
「別れる気もなければ、離れる気もないよ」
「え?だって、県外で決まったんだよね?」
義哉は県外で、私は地元のままなのだから、離れると思うんだけど。
「夏希も行くんだよ」
「……え?」
「身勝手で悪いと思っているけど、仕事辞めてついてきて欲しい。
誰も俺たちの関係を知らない土地へ行って、恋人として一緒に生きていきたいんだ」
全然考えてもみないことを言われて、私は何より驚いた。
まさか、ついてきて欲しいと言われるとは思わなかった。
「手に入らないと思っていた。だから、離れるのもいい機会だと思った。
だけど、手に入ったんだ。もう絶対、手放したくはない。
結婚なんて望まない。ただ、隣で笑い合って一生を過ごしたいんだ」