願う場所、望む奇跡
それとは違う方から、笑い声が聞こえた。
「あの女より、よっぽどいい女じゃん。うん、聞いていた通り」
何かに納得するように頷く彼に、私は首を傾げる。
「ああ、そっか。初めまして、ですね。オレは、林悠弥です」
どこかで聞いた名前だと思い、頭の中でぐるぐる考える。
「いつも莉亜がお世話になっています」
にっこり笑って言った言葉に、ようやく納得した。
そうだ、莉亜の弟だ。
「莉亜の弟かぁー。初めまして。うん、似ているわ」
「え、似ていますか?それも嫌だなぁ」
苦笑いしながら言っているその表情が似ていると思うけど。
「姉さんと悠弥って逢ったことなかったの?」
義哉が不思議そうに首を傾げる。
かれこれ5年の付き合いなのに、弟に逢ったことがないのが不思議らしい。
「あ、うん。私は、あまり莉亜の実家には行っていないし。話しを聞くことはあっても、逢うことはなかったな」