-8年後-

トンネル

~私にとって3年のこの日が
地獄の始まりだった~

……ざわざわ……ざわざわ

美歩 クラスの様子が
明らかに変なことに気付く。

同じクラスの野原が
「美歩が私から
好きな人とろうとしてる」と
いう嘘の噂を勝手に流したのだ。

私はおとなしいので
言い返せる強さもなかった…。

同じクラスの健は
「うわ~美歩さん性格悪すぎ」
とか言ってる…。

クラスの人も野原さんが
「かわいそう」とか
「美歩さん性格悪すき」だとか
言ってきた。

そのことを先生に
相談した方が良いと
思ってそのことを
説明しに職員室に行くと
担任の先生は…

「野原さんはクラスの
ムードメーカー的な存在
なので、あなたを
いじめるわけが
ないですよ。友達
信じなくてどうするんですか?」
と言ってる。

美歩 この先生は頭が悪いのか
と思った。

担任の先生は私のことを
被害妄想的な人と
思っているのだろうか…
何度説明しても
何も助けてくれなかった…。

その時…

ああ…人間って
都合が悪くなると
手のひらを返した様に
冷たい態度をとるのだと
その時気付いた。

それから…
私は誰も信じられなく
なってしまった…。

仲良いと思っていた
幼なじみの野原に
好きな人を相談されてた。
私はその人のこと
何とも思ってなかった。
司先輩のこと
今でもずっと好きだし。
恋愛と思ったことは
なかったのに
野原は何で
そんな嘘をつくのだろう
と思った。

私は一部の男子から
騒がれている中に
野原の好きな人も
入っている噂を
聞いたのか
私のこと面白く
思ってなかった
ことに、今になって
私は気付く。

私に対するクラスの態度は
一瞬で氷の様に冷たく。

私に陰湿な悪口や
いじめをしてきた。

先生の前では
いじめをしている
態度をとっていなかった。

皆とあまり話さない私にとって
ムードメーカー的な野原には
仲間が多かったから
クラスの人は直ぐ
野原側についた。

私が動けば動くほど
あっちの思うツボだった。

毎日…毎日…苦しかった。
お母さんにそのことを話すと
お母さんは信じられない様な顔で
私を見た…「嘘でしよ?
あの子がそんなこと
するなんて…。」

お母さんは一緒に泣いてくれた。

この世界が地獄のように
見えた…。

学校の人が皆 敵の様に見えた。


冬の寒い朝…
私に「美歩は手先が
器用だからデザイナー
になるといいよ。」

と言っていた大好きな
お祖父ちゃんが亡くなった。

私もお祖父ちゃんのところに
行きたいと思って
死のうと思った。

その時…

テレビで自殺の特集を
やっていた。

涙が止まらなくて…
大粒の涙がポロポロ
流れた…。

その日の夢で…
私は、トンネルの中にいた
お祖父ちゃんが
「まだここに来る時ではない。」
と言った。
お祖父ちゃんは
遠くにどんどん
離れて行った…

すると…
雪の言葉が
「どんなに苦しくても
諦めちゃだめだよ。
諦めたら2度と司先輩に
会えないからね。」
と聞こえてきた。

トンネルの小さい光に
向かって私は歩いてる
その光はどんどん
明るくなって

夢から覚めた。

夢か…隣りのコタツで
お母さんが疲れて寝てた。

私 色々心配かけてたんだ。

このままではだめだね。

その日 私の心が
苦しい気持ちの
モヤモヤの中で
「諦めない」という
明るい気持ちがじわじわ
浸透していくのを
気付き始めていた。
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