螺旋上の赤
(あのやろー!チャラ男の分際で乙女の唇を奪うなんて……許せん!)

イライラしてきた!

ギリギリ……

ギリギリ……

更に強くコップを握りしめる。

「凛ちゃん、落ち着こう。
 ……コップ、割れちゃうからね。」


その日はそれから何もなかった。
ううん。しばらく何もなかった。

同じ大学だけど、学部が違うと意外にも顔を合わせないんだなぁ。
合ったら胸ぐら掴んで文句くらいは言ってやらないと気がすまない。
要はそこそこのプレイボーイ君で、次の彼女でも探してたんだろ。
私がこうしてる間にも、
彼方此方で他の女の子とキャッキャウフフしまくってんだろ。
きっと、あいつにとっては些細な事なんだろ。

あぁぁあ!もう!

イライラするっ!
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