螺旋上の赤
一言、二言。
吐き出す言葉も地面の小石に言ってる始末。
小石には何の罪もないし、何の用事もない。
私が小石に説教をしている間にヤツは正気に戻ったらしい。

「……大丈夫か?」

(敵に心配されている私って……凄くカッコワルイのでは……。)

「大丈夫だ!」と、今度は手の平をパタパタしてアピール。
このジェスチャーでは相手に意図が伝わっていないようで、ヤツは真顔で首を傾げて考え込んでいる。

(誰か私に最高にイライラしてるって表現する手の動きを教えて下さい。)


トントン、トントン

優しく背中を叩く音。
うん?
何か暖かいモノが背中を優しく叩き、さすってる。
寒空の下、疲れた背中があっという間に満たされていく感覚。

(……何これ。)
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