螺旋上の赤
やっと呼吸が落ちつき、気付いてみれば天敵に介抱されている私。

「落ち着いたか?じゃあ、俺行くわ。
 ちょっと急いでるんだ。
 あんまり無理するなよ、ここ男でもキツいんだからさ。」

ヤツは私を置いてそのまま歩いて行ってしまう。

(——このまま行かせてなるものか!)

焦って追いかけようとしたその瞬間。

「おわっ!」

ガチャ、ガチャン!

(イテテ……やっちゃった。)

勢いで乗り捨てた自転車に盛大につまづいて転んだ。
ここでギブアップ。
橋の頂上、少し振り返ったヤツの背中を地べたから眺めながら次こそはと、リベンジの誓いを立てる私なのだった。
今日の私カッコワルイ。
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