螺旋上の赤
「零ちゃんは余裕ありそうですな……もしかして終わってる?」

「そりゃそうさ、アンタじゃないんだから。
 あの課題は先週に出されたものだろう?流石に終わってるよ。」

零ちゃん、何気にハイスペック。
将来はアメリカで一旗上げてやると豪語するだけある。

「今は昼時も過ぎたし空いてるから、好きなとこ座って良いだろ。
 店内も静かだし、ゆっくり課題やっていきな——っと。」

うちらの相手をそこそこに、他のお客さんのオーダー取りに行っちゃった。


「さて花奈。何処に座ろうか?」

「うーん、端っこの方がのんびり出来そうだから、あの辺りが良いかな?」

入り口から一番遠い、角の何席か空いている所を指した。

「オッケ、私は飲み物持ってくから花奈先生は先に座ってて下され。」

「よきにはからえー。」

花奈先生は可憐な微笑みを振りまいて席の確保へ。
飲み物運びくらいは私目にお任せあれ。お世話になっていますからね。
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