螺旋上の赤
「それとね。あんた、上履き汚いよ!
 ちゃんと洗ってるの!?」

彼の上履きは、私の上履きと比べても格段に汚れていた。
私は身だしなみには殆ど無頓着なんだけど、何故か足元だけは気になるタチである。
色や型とかはどうでも良いんだけど、靴の汚れだけは何か気になるの。

「ちょっと貸してごらん。」

(髪が邪魔だなぁ、こんなことならカチューシャとか持ってくればよかった……さて。)

水飲み場にかかっている石鹸とブラシでゴシゴシ。
私は彼に断りも無く唐突に上履きを洗い始めた。

ゴシゴシ……

ゴシゴシ……

「これで良しっ!ピッカピカだ!
 やっぱり靴はピカピカに限るよ。
 ね?なんていうか、爽やかだよねっ!」

洗い上がった上履きを彼に渡す。
誰だか知らない子の上履きが綺麗になって、私は満足。
彼も上履きが綺麗になって、満足。
これが最近良く耳にする『うぃんうぃんの関係』ってヤツだろう。
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