螺旋上の赤
「……。」

彼はボーっと、手渡された上履きをただ見つめている。

(うんうん、嬉しさと感動で言葉も出ないか〜。良いことをすると気持ち良いな!)

水性マジックで書いた上に、ブラシで擦ったから大分滲んじゃって文字としての体裁を保てているかというと微妙なところ。

「早く教室とかで干しとかないと、明日までに乾かないぞー!」

ヒーローは良いことをした後は颯爽と去るものだ。
走り去る私カッコイイ。


「こら、片桐!廊下を走ってはいかん!」

「ごめんなさ〜い!」
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