螺旋上の赤
「まだ時間かかりそうだから、もうちょっと我慢してよ。」

いくらある程度素性が分かったとはいえ、乙女の部屋にそう易々と男を入れるわけにはいかない。
信用出来るかと言われれば、出来ない要因ばかりが思い浮かぶし。

(でもコンクリに裸足はさすがに可哀想かな?あんまり騒がれても面倒くさいし。)

あまりにかわいそうだと思ったので、ドアの隙間からサンダルをポイっと。

「あのさ、自分で洗うから大丈夫だって。」

いそいそとサンダルを履きながら、有の控えめな訴えは続いている。

「そうもいかないでしょ!」

主に私の精神衛生上ね。
あと有の物理的な衛生上でも。
< 48 / 66 >

この作品をシェア

pagetop