螺旋上の赤
ゴシゴシ……

ゴシゴシ……

川の泥濘で真っ黒になってしまった、有の靴をお風呂場で洗ってるのだ。

ゴシゴシ……

ゴシゴシ……

「ちょっと、凛。」

ゴシゴシ……コンコン

ゴシゴシ……コンコン

ドアを軽くノックする音が混じる。

「凛、これ以上は流石に風邪ひいちまうよ……。」

濡れたジーンズにサンダルで、秋の夜空の下は流石に無理か。

(仕方ないなぁ。)

ガチャッ。

「玄関までよしっ!」

「——ふぅ〜、助かった。」

「玄関までだよっ!タオル持ってくるから、それそこに敷いて座ってて。」

「分かってるよ。
 ——勢いは昔のままだなぁ。」
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