螺旋上の赤
ゴシゴシ……

ゴシゴシ……

「ねえ、あんたさ。
 大学であんまり良い噂聞かないよ?
 ——女関係とか、さ。」

「うん?あぁ……まぁそうだろうな。」

冷えた足をさすりながら、何でも無いかの様に有が答えた。

「元カノの瑠依ちゃんだっけ。
 すっごい我儘で最悪だったって言ってたよ?」

「ま、そうかもな……。」

私とは目を合わせず不愛想に答えた。

少ししか話をしていないけれど、凛には有が我儘を人に押し付ける様な人間とは思えなかった。

「あんた、彼女に髪型とか仕草とか強要したの?」

ゴシゴシ……

ゴシゴシ……

有は答えない。

(ま、いいけどね。)

ふと冷静になると、まるで息子の恋話をむさぼる母ちゃんの様なことしてるな。
ちょっと恥ずかしくなってきた。
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