螺旋上の赤
有は帰って行った。

(——いやいや、おいおい。空気読めって。
 ドキドキした私が馬鹿みたい……って、何を考えてたんだ私は!?)

でも。

(ショートボブって私が小学校の時にしてた髪型だ……。)

あいつ、まさか今までの彼女に私の髪型真似させようと?

そんな訳ないか……自意識過剰かっての。

ドライヤーの風に吹かれたまま放置されていたせいで、イカしたソフトモヒカンに決まってしまったアレックスを見つめ。

(ねえ、教えてアレックス
私、どうしたら良いの?)

随分伸ばしてきた髪をいじりながら、物思いに耽る。

(まだ、ショートボブ似合うかな……。)
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