螺旋上の赤
すぽんっ!

「はぁう!」

辞世の句を読む暇もなく、試合はあっけなく終わりを迎える。

(終わった……。)

「凛、この髪型って……。」

身体全体が恥ずかしさで、沸騰している。
穴があったら入りたいってのは、こういう事だろう。
ううん。自分で穴を掘っても構わない。
神様、今すぐスコップをお授け下さい。
そしたら一心不乱に地面を掘り返し、地球の裏まで逃げて、そのまま南半球の秘境で暮らします。
みなさん、今までありがとうございました。

——さよなら。


でも、願いは叶わなかった。
自転車小屋の前で某昭和のボクシング漫画の様に、真っ白になってへたり込む私。
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