螺旋上の赤
くいっ

(うん?)

あれ?ニットが天からの重力に引っ張られる。

くいっ

(おいっ!)

「何やってんの〜!」

有が私のニットを脱がそうと、上から引っ張っていた。

「いいじゃん、ちょっと見せて。」

「ダメッ!絶対ダメ!」

私は素早く身をかがめ、帽子を脱がされまいと、不規則に上体を揺らす。
さながら、ボクサーが敵のパンチを避けるかの如く!
だが、相手は男子大学生である。戦闘力の差は歴然。

(うぅ、も……もはやこれまでか……。
 じ、辞世の句を……あ。)
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