螺旋上の赤
もういくらも葉の残っていない楓の下の自転車小屋で、
綺麗なお辞儀をしている男の子と、俯いて地面に話しかける女の子。
とっても滑稽な景色に見えただろう。

有がゆっくり口を開いた。

「今日からは俺に守らせて欲しい。
 凛に貰った優しさが何回も俺を助けてくれた。
 この日をずっと、待ってたんだ。
 君をずっと求めていた。」


凛、大好きだよ。


秋冷の風が吹く。
赤がかった楓の葉が、静かに地面に落ちた。
一つ、また季節が変わるみたい。

この胸の中の温もりは、変わらないで欲しい。
< 65 / 66 >

この作品をシェア

pagetop