エチュード ~即興家族(アドリブファミリー)~
「そして、息子の存在を知ったことで、その人のこれからが変わってしまう」
「アキちゃ・・お母さんは、それが俺にとって負担になると思って、ずーっと黙ってたんだ。俺にだけじゃなくて、おまえのおじいちゃんとおばあちゃん、伯父さんにも、だろ?」と確認するように聞いた善に、私は頷いて肯定した。

「確かに、おまえの母さんからおまえのことを聞いたとき、最初はビックリした。“俺がいきなり10歳の息子の父親!?”みたいな・・。正直、他人事みたいな感じだったが、ちゃんと受け止めたよ。母さんが言ったとおり、中には子どもがいると聞いて、負担に思う男もいる。これは事実だ。だが俺は、秀のことを負担には思ってない。マジで。そして俺は、秀という息子がいると知ったからには、一生おまえとかかわる。それはおまえの母さんにも言った」
「あのー。かかわるって、どういう風に僕とかかわるの?」
「あ?あーっと、それはだな・・・」
「運動会とか父兄参観日に来てくれるの?」
「都合がつけば。てか前もって日にち教えてくれれば、俺、スケジュール調整して行けるように・・・」
「ちょ、ちょ、ちょーっと待って!」
「何、アキちゃん」
「そんな・・・できるかどうかも分からないような約束を、今ここでしないでくれる?」
「そうだな」と善が同意してホッとしたのもつかの間・・・。

「確かに現状のままじゃあ、運動会やら行くのは難しいな」と続けて言った善のセリフに、私はドキッとしながら彼を睨み見た。

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