エチュード ~即興家族(アドリブファミリー)~
「アキちゃん、ごめんな。俺らまだツアー中で、今名古屋なんだ」
「分かってる。こっちは大丈夫だから、善たちはツアーに専念して。ファンのみなさんをガッカリさせないでね」
「・・・うん。ありがと。アキちゃんがそう言ってくれると、俺マジで元気出る。アキちゃん?」
「はい?」
「来月半ばにツアーが終わると、俺らスケジュール的に一段落するから。そしたら俺、そっちに挨拶行く。あの、お父さん、お母さん!」
「はいっ!」
「そういうわけですので、ふつつかな義理の息子になる俺を、これからビシビシしごいてください!」
「もぅ・・何言って・・・。善のそういう・・・面白いところは変わってないね」
「アキちゃんの笑顔も変わってない。俺、ずっと好きだよ」と善に言われた私は、笑うのを止めて息を呑んだ。

「おい善!ここで惚気んなよ」
「いやでもさ、こういう時こそ互いの愛情を確かめ合ってだな」
「ちょい待ちー!英兄ちゃん、家のすぐそばまで来てるって」
「あ。じゃあ私たち、荷造りするから」
「スカイプは毎日しよう」
「うん」

< 137 / 183 >

この作品をシェア

pagetop