エチュード ~即興家族(アドリブファミリー)~
「あ・・・」
「さっきも呼んだ?シャワー浴びてたからあんま聞こえなくてさ。わりぃ」
「ううん。私の方こそ・・・ごめん」

善の上半身だけでも裸な姿って、過去にも見たことあるのに・・・。
私の顔、赤くなってる気がするし、目のやり場に困ってしまう!

視線をさまよわせながらオロオロしている私に、善はいつもどおりの穏やかな声で「どうした」と聞いてきた。
それで私の心は落ち着いて、でも同時に、何があってもこの人は動じないんだろうなと思ったら・・・むしょうにイラついた。

「アキちゃん?」
「善。わたし、もう・・・」

泣いたら何も言えなくなる・・・と思っても、涙は勝手に出てきてしまって。
私が俯いたとき、いつの間にか目の前に来ていた善に、そっと抱きしめられていた。

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