一度でいいから好きだと言って
教授を見送り、研究室のみんなに挨拶をする。来週一杯でわたしの研究室での仕事が終わることも伝えておく。
時計を見ると9時過ぎ。
本当に斯波さんは待っているのだろうか?
バーの薄暗い照明の中、ボーイに案内されて斯波さんの席まで行く。
窓際でウィスキーのロックを飲む男。
嫌味なくらい、何もかもが絵になる男。
「お待たせしました」
案内してくれたボーイにジントニックを頼み、向かいの席に座る。
「お疲れさん、先生ご機嫌やったな」
「わざわざアメリカから?」
「先生には世話になったし、ちょうど夏休みだしな」
「そっか・・・・・」
ジントニックが運ばれてきて、口をつける。一口飲んで息をついた。
「で、お話って?」
「せっかちなヤツやな。少しはイケメンと2人っきりのこのシチュエーションを楽しもうとか思わへんか?」