一ノ瀬さん家の家庭事情。
「家、けっこう厳しい家庭だったから、もちろん親父もお袋も猛反対。でも兄貴は絶対に彼女を守る、幸せにするって聞かなくて。…それで結局家を出る形でそれっきりになってしまってたんだ。」

そうだったんだ…

「そして次に兄貴にあった時、もう話せなかった。…息をしてなかった。」

事故の衝突はかなり大きくて、即死だったってお父さんが言っていたっけ。

「葬式のとき、生まれたばかりの君を初めて見た。」

先生はあたしの顔を見た。

「こうしてまた会えるなんて、嬉しい。成長した君を見れたことが、すごく嬉しいよ。」

知らなかった暁君と唯ちゃんのこと。

またあたしも新しく知れて、嬉しい。

「ごめんね、遅くなっちゃったね。送っていくよ。」

「いえ、そんな…」

「いや、送らせて。大切な姪っ子だからね。」

そしてあたしは家まで送ってもらうことに。

「今はじゃあ五人で住んでるの?」

「はい、たまにお父さんが帰ってきます。」
< 302 / 391 >

この作品をシェア

pagetop