HALF MOON STORY
その日は
そのまま部屋に戻り
早めに食事を済ませた
そしておんぷと音楽を楽しんだ
明日は仕事だった
すると携帯電話が鳴った
ハルから電話が掛かってきた
私は慌てて電話に出た
「ハル今日は心配かけてごめん」
そう私が謝った
「大丈夫だよ、それより
俺、今部屋に着いた。
サボテンがいないんだけど」
思いがけない返事に
心臓が飛び出しそうだった
「今行く。」
それだけ言うと
おんぷを抱いて
部屋を飛び出した
走るつもりはなかったのに
自然と走りだしていた
川を渡り
ハルの部屋に着く
チャイムを鳴らす
ハルがドアを開けてくれる
馬鹿みたいに私は
おんぷをハルに差し出した
ハルはサボテンを見て笑った
「ごめん、おんぷ預かってた」
「愛果がさみしかったから
つれてったんだろ
別にいいけど
元気そうだし」
そうだよ
すごく
寂しかった
おんぷを玄関の
靴箱の上に置くと
私はハルに抱き付いた
ハルも抱きしめてくれた
「会いに来てくれたの
すごく嬉しい」
そう腕の中で呟く
ハルがギュッと抱きしめてくれる
「ごめん、いつもそばにいてやれなくて」
そう呟いた
逢えなかった分だけ
抱きしめ合う
お互いの気持ちを
逢いたかった気持ちを満たすように
そうしないと
もう、どうにかなってしまいそうだった