HALF MOON STORY
始めてハルの部屋で
一晩を過ごした翌朝
会社に行く為に
着替えなくてはならない私は
まだ夜が明けきらないうちに
ハルのベットを
抜け出そうとした
ハルが隣で
気持ち良さそうに
眠っている
その顔を
朝見ただけで
幸せな私
起き上がり
彼の寝顔をひとしきり
見つめ
満足して
ベットから抜け出そうとすると
ハルが私の腕をつかんだ
よろけた私は
ベットにまた腰をおろす
「ごめん、起こしちゃった
今日会社なんだ
着替えに帰ろうと思って」
眠そうな目を少し開け
私を確認したハルは
また
瞼を閉じた
そしてニコリと笑う
「俺、今日
昼いちに東京に行く」
そう聞いた私は
しばらく悩んだ
もう帰っちゃうんだ
会社休んじゃおうかな
そう考えていた
「愛果も一緒に行こう」
ハルがそう言った
そして、
眠たそうに目を開くと
私を見つめた
一緒に行けたら
どんなにいいだろう
ハルと離れるなんて
考えたくなかった
でも
仕事が待っていた
私は
できるだけ明るく
話す
「わかった
気をつけてね」
それしか言えなかった
飲み込まれた言葉は
あなたに
届くのだろうか